コンセプト

設計において私が最も大事にしていることは、まずお客様の希望を全て伝えていただくこと。当然、予算や土地の形状などから実現が困難な希望もあるかもしれません。しかし、お客様の中にある夢を全て伝えていただき、それをいかにして形にしていくことが出来るか。そこに建築家としての力量が問われると私は考えます。
家はお客様の大切な資産です。資産価値という視点で建築物を見たとき、ハード(物質・構造体)としての側面、ソフト(意匠・レイアウト)としての二つの面から捉えることが出来ます。お客様とともに一生懸命に創り上げた私どもとしても悲しいことではありますが、物体の経年劣化による資産価値の減少は避けることが出来ません。
どうすればお客様の大切な資産の減少を抑えることが出来るか。時代の最先端を行くデザインは、時がたつと時代に遅れてしまいます。私どもはデザインのための造形よりも、機能の集合が作り出す美しさを重視します。100年後も住む人を心地よく包む家を目指して。
ハウスメーカー様との違いについてはよくご質問を頂きます。ハウスメーカー様の家にもそのよさがあります。例を挙げると、工場生産による施工期間の短さがあります。ブランド名もまたハウスメーカー様の強みでしょう。建築家と一緒に家を作るのか、ハウスメーカー様の製品を購入するのか。大切な資産作りです、まずは双方の話をよく聞かれてみることをお勧めいたします。

吉井町 N邸

豊かな自然に囲まれたこの家の施主は、学校教育に携わるNさん夫妻。家族構成は夫妻の他に小さなお子様が二人(設計時。現在はもう一人のお子様に恵まれている。)ということで二階に設けた広い子供部屋は将来分割できるように配慮。二階へと続く階段はキッチンの横に配置し、自然とコミュニケーションが生まれるように考えられている。

広いウッドデッキには岩でつくられた小川があり、静かに流れる水の音がその場を癒しの空間に変えてくれる。庭の一角には特別に作られたバーベキュースペースもあり。

「離島から転勤してくるということで、いろいろと任せていただいた部分が多かった」(直野氏)。離れた土地に家を建てるという困難を乗り越えられたのは、綿密な打合せの積み重ねと信頼できる建築家との出会いがあったからだろう。

建築物詳細

竣工
2004年3月
構造(工法)
木造(2×4工法)
建築面積
158.16?
建築家
直野壮一朗(木心工建)
施工会社
木心工建

島原市 S邸

島原市の城内という閑静な住宅地。数分も歩けば武家屋敷や城に触れられる恵まれたロケーションである。施主は学校教育に携わる30代のSさん夫妻。「こころ安らぐ家にしたい」というのが夫妻の希望であった。豊かな敷地面積を活かしてほぼ平屋建てという設計にしたのも“家族のつながり”を意識したため。コアとなるリビングの吹き抜けは視線の変化をもたらし、十分な採光を確保した。

子供用に設けられたロフトはバルコニーへとつながり、天窓からはあたたかい光が降り注ぐ。シックにまとめられたパウダールームと、ミストシャワーを備えたバスルームは“オトナ仕様”の空間だ。飾らない美、素直な希望の集合があたたかな美しさを創り上げた。オーナー夫妻の感性を建築家がカタチにした、世界でただ一つの家である。

建築物詳細

竣工
2006年3月
構造(工法)
木造(2×4工法)
建築面積
216.00?
建築家
直野壮一朗(木心工建)
施工会社
木心工建

特長・こだわり

広い平面と縦の空間交差
敷地を贅沢に生かした設計でありながらリビングには吹き抜けとロフトを配置。屋根まで抜けたその天高により住み手の感性を刺激する空間となっている。